ストレスは身体に悪いというイメージがあると思いますが、実は適度なストレスは身体によいというのが医学的な常識になっています。
健康への効果が確認されているストレスは複数あります。
今回身体によいストレスについて解説したいと思います。
運動
身体を動かさなくてはいけないというのは、人間にとってストレスでもあります。
食料が貴重であった昔は無駄なエネルギーの消費を抑えることが生存につながるため、運動をストレスに感じるようになったと考えられます。
しかし、数十年前までは動かずに食べ物が手に入るということはなく、生存のためには動くことが必須でした。
こんなに動かなくてすむ状況はかつてなかったわけです。
運動しすぎも身体に害がありますが、現代人は動かなすぎて健康を害している人が圧倒的に多いです。
動きたくない本能に打ち勝って、運動するようにしましょう。

空腹
人間を含めた生物の歴史は空腹(飢餓)とのたたかいでした。
カロリーの豊富な食物はなかなか手に入らなかったため、食欲という本能はかなり強い欲求です。
しかしカロリーの摂りすぎは肥満をもたらし、さまざまな病気のリスクとなります。
逆に適度な空腹は細胞のオートファジーという機能を活性化させ、老廃物の処理を促進することが分かっています。
オートファジーはアンチエイジングや病気の予防につながることが期待されています。
食欲を上手にかわして、適度な空腹の時間をつくることを習慣にしましょう。

温度(暑さ、寒さ)
適度な暑さや寒さも健康に良いことが分かっています。
サウナや入浴は見方によっては拷問のような暑い環境ですが、健康に良い効果が報告されています。
フィンランドで行われた研究では、サウナをよく利用する人は心筋梗塞や脳卒中が少なく、突然死のリスクも低いことが報告されています。
2020年に報告された日本の研究では、頻繁に入浴する人は心筋梗塞や脳卒中のリスクが低いという結果でした。
また寒冷刺激も健康へのメリットがいわれています。寒冷刺激は長寿遺伝子であるサーチュイン遺伝子を活性化し、アンチエイジングにつながることが期待されています。
また冷水シャワーは免疫を刺激し、風邪などで仕事を休むことを減らす効果が報告されています。

社会的役割(仕事など)
仕事を含めて社会的な役割や人間関係にはストレスも多いですが、健康へのメリットが期待できます。
社会的孤立はタバコよりも健康に悪いことが研究によって示されています。
人間関係が多少面倒でも人や社会とのつながりを維持することはとても大切です。
退職した後も町内会などの社会的役割を持つことで、認知症や死亡のリスクを減らすことが示されています。
退職後も悠々自適ではなく、適度にしんどい役割を担うことが健康に役立つと考えられます。

健康に役立つストレス4つを紹介しました。
ストレスは必ずしも健康に悪いものではなく、適度なストレスは健康増進に役立ちます。
しかし高血圧や心臓病などの病気をすでに抱えている方は、ストレスで悪化する危険性も考えられるため、医師に相談しながら取り組むことが必要です。
どのくらいのストレスが適度なのかは個人差がありますので、自分にちょうどよい程度を探っていくようにしましょう。